物理学
世の中のあらゆる物は、突き詰めれば「物質のかけら」でできている——そう習った記憶があるかもしれません。陽子や中性子の中にはクォークという粒があり、それが積み木のように組み合わさって世界を形づくっている、と。ところが物理学者たちは半世紀ものあ…
電気抵抗がゼロになる超伝導は、リニアモーターカーや病院のMRI、強力な磁石を支える、私たちの暮らしに意外と身近な技術です。その性能を上げるには、物質を冷やしたり、圧力をかけたり、材料そのものを変えたりするのが当たり前でした。ところが今回、材料…
高校の数学で「2乗するとマイナスになる数」を習ったとき、少し不思議な気持ちになった人は多いはずです。ふつうの数では表せない数なのに、なぜわざわざ考える必要があるのか。しかも、その数は物理学の最先端、量子力学の計算にどっしりと居座っています。…
私たちの身の回りにある物質は、すべて「ボソン」と「フェルミ粒子」という2種類の粒子で構成されています。ボソンは光子のように互いにすれ違うことができ、フェルミ粒子は電子のように同じ場所に重なり合わない性質を持っています。しかし、物理学の世界で…
時間は一本道じゃない?「3次元時間」ってなに? 普段、私たちは時間を「過去→現在→未来」という一本の道を進んでいるように感じています。しかし、米科学メディアPhys.orgの記事New theory proposes time has three dimensions, with space as a secondary …
夏の夕立で空を引き裂く稲妻。あの圧倒的な自然現象を、机の上の小さなプラスチックの塊で再現できるとしたらどうでしょうか。「雷を箱に閉じ込めるコンセプト、雷雲を親指サイズに縮小」とGizmodoが報じた研究が、雷研究の常識を変えるかもしれません。ペン…
砂場の砂も、雨上がりの水滴も、時間がたてば互いにくっついて大きな塊になっていきます。小さいものは寄り集まり、やがて動かない固まりになる。私たちが日々目にする粒の世界は、たいていそういう決まりで動いています。ところが、その常識がまるで通じな…
数学の世界には、1859年に提出されてから今日まで誰も証明できていない問題があります。名前を「リーマン予想」といい、素数の並び方の秘密を握るとされる難問です。証明できれば数学の歴史が変わると言われながら、167年ものあいだ紙とペンの前に立ちはだか…
スマートフォンでもパソコンでも、電気を流すには電池やコンセントから電圧をかけるのが当たり前です。プラス側とマイナス側の間に電圧の差を作れば、電子が押されて流れ、それが電流になります。この「電圧で電子を押す」という仕組みは、電気を学んだ人な…
原子より小さな粒がひとつ、全力投球のボールと同じ勢いで飛んでくる。そんなことが物理的にありえるのか、と思わず身構えたくなります。ところが1991年、まさにそれが実際に起きて、しかも35年たった今も「どこから来たのか」を誰も説明できずにいます。「3…
夜空を見上げても、ブラックホールを直接見ることはできません。何もかもを飲み込む天体からエネルギーを取り出すなんて、SFの話に聞こえるかもしれません。ところが、その理論を宇宙まで行かずに、机の上の小さな装置で確かめた研究が発表されました。アメ…
私たちが毎日使うカーナビやスマートフォンの位置情報は、実はアインシュタインの相対性理論を計算に取り込んで成り立っています。時間や空間が、ふだんの感覚どおりにはふるまわないからです。そんな理論が予言するもうひとつの不思議な現象が、これまでで…
風船を膨らませるガスとしておなじみのヘリウム。これを極低温まで冷やして液体にすると、摩擦をほとんど感じさせずに流れる「超流動」という不思議な状態になります。その表面にたった1個の電子を浮かべ、次世代コンピュータの心臓部として使おうという、30…
米や砂を袋に詰めていくと、あるところで急にギュッと固まって動かなくなります。誰もが日常で経験するこの「詰まり」の中に、10年以上も物理学者を悩ませてきた謎が隠れていました。そしてこのたび、その謎を解くきっかけを与えたのは、対話型AIのClaudeだ…
スマートフォンの時刻合わせから新幹線の運行管理、GPSによるカーナビまで、私たちの暮らしは目に見えない「精密な時間」に支えられています。その基盤となっているのが、1950年代から国際標準の地位を保ってきた「原子時計」です。そこに、まったく新しい仕…
私たちの体を毎秒何兆個ものニュートリノがすり抜けている――そう聞いても、まるで実感がありません。日本のカミオカンデが小柴昌俊さんのノーベル賞でその存在を一般に知らしめてから40年、ついに新たな巨大検出器が初の重要成果を発表しました。米科学メデ…
私たちの体は、たった一つの受精卵から始まって、心臓や脳など複雑な臓器を持つ一つの個体へと育っていきます。これは長年「遺伝子の設計図が正しく読み込まれていくから」と説明されてきました。しかし最近、カリフォルニア工科大学の研究チームが「多細胞…
学校の理科で「分子の形は球や棒で表せる」と習った方も多いと思います。ところが現実の量子の世界には、蝶や三葉虫のような奇妙な姿をした分子が存在することが、20年以上前から理論的に予言されていました。今回、その中でも特に難物だった「バタフライ分…
私たちの身の回りで物が落ちるのは重力のおかげ。スマートフォンが動くのは電磁気力のおかげ。自然界には4つの基本的な力があると、物理学の教科書は教えています。ところが、「NASAの科学者が太陽系に"第5の力"が潜んでいる可能性を指摘」という研究が発表…
「光より速いものは存在しない」。学校で習ったこの常識が、いま実験室で覆されました。ただし壊れたのは常識の方であって、物理法則ではありません。イスラエルの研究チームが「光速を超えるものを初めて実験で確認した」と発表し、話題を呼んでいます。光…
ボールを壁に投げると、壁もボールを同じ力で押し返す。ニュートンが300年以上前に発見したこの「作用反作用の法則」は、物理学の根幹をなす原則です。ところが、スピーカーと発泡スチロールのビーズという身近な材料だけで、この法則に反する現象が観測され…
スマートフォンの時計、電車の運行管理、カーナビのGPS。私たちの日常は「正確な時間」に支えられています。しかし、時計の精度が大きく塗り替わろうとしています。「幻の「原子核時計」が数十年の研究を経て実現に近づいている」とNature誌が報じたところに…
宝石のダイヤモンド、雪の結晶、食卓の塩――。私たちの身の回りにある「結晶」は、原子が空間の中で規則正しく並んだ構造です。では、空間ではなく「時間の中で」規則的に繰り返す結晶があると聞いたらどうでしょうか。「離散時間結晶が微弱な磁気振動の実用…
スマートフォンの半導体から航空機のエンジン部品まで、新しい材料を開発するには原子レベルの振る舞いを正確に計算する必要があります。しかし統計力学の根幹にある「配置積分」と呼ばれる計算は、最先端のスーパーコンピュータでも数週間かかり、100年以上…
ボールを投げれば放物線を描き、月は地球の周りを回り続ける。こうした運動の「道筋」を支配してきたのが、アインシュタインの一般相対性理論です。ところが、「粒子はアインシュタインの経路に従わないかもしれない」というウィーン工科大学の新研究が、こ…
電気を一切ロスなく送れる「超伝導」。もし室温で実現できれば、送電線のエネルギー損失は消え、電気代は劇的に下がり、リニアモーターカーも今よりはるかに安く運用できるようになります。そんな夢の技術に一歩近づく発見がありました。「67年前に予言され…
宇宙の夜空を見上げた際、そこに広がる見えない質量について深く考えたことはあるでしょうか。最新の研究が、長らく宇宙の謎とされてきたダークマターの存在を問い直し、全く新しい視点を提供しています。ダークマターとは、光と相互作用せず重力効果のみが…
宇宙に浮かぶ無重力の空間は、地球上では決して聞こえない「音」が存在する場所かもしれません。しかし、物理法則によれば、真空状態の宇宙では音を伝える空気などの媒体がないため、音は伝わらないはずです。NASAの探査機が収集した電磁波データを変換して…
夜空に輝く無数の星々の中には、時に物理学の常識を覆すような、謎に満ちた天体が存在します。NASAのX線観測衛星NuSTARが発見した「M82 X-2」もその一つです。 地球から約1200万光年離れたM82銀河に位置するこの天体は、太陽の実に1000万倍もの明るさで輝い…
約100年にわたり、その存在が予測されながらも正体不明だった謎の物質「ダークマター」。宇宙の大部分を占めるとされるこの物質の正体が、ついに解明されるかもしれません。 東京大学の研究チームが、NASAのフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡の最新データを分析…