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宇宙ヤバすぎ!天の川銀河117個分の超巨大天体が続々発見!謎に包まれた宇宙の姿が明らかに

皆さんは、宇宙の広さを想像したことがありますか?私たちの住む地球は太陽系のほんの一部で、太陽系はさらに「天の川銀河」という巨大な銀河の中にあります。しかし、宇宙には天の川銀河よりもはるかに大きな「銀河」がたくさん存在し、中には想像を絶するほど巨大な天体もあるのです。

今回、オーストラリアの研究チームが、そんな宇宙の巨大な謎に迫る大発見をしました。なんと、これまで知られている中で宇宙で最も巨大な単一の天体とされる「ジャイアント電波銀河」が、新たに15個も見つかったというのです。この発見は、私たちがいかに宇宙の成り立ちを理解していないかを示すものであり、今後の宇宙研究に大きな影響を与えることでしょう。

この驚きのニュースは、Astronomers discover 15 new giant radio galaxies — the largest single objects in the universeで詳しく報じられています。

宇宙最大級の天体「ジャイアント電波銀河」とは?

今回の発見の主役である「ジャイアント電波銀河」とは、一体どのような天体なのでしょうか。その名の通り、非常に巨大な「電波」を放出する銀河のことです。

普通の銀河は、光で輝く星々が集まってできていますが、ジャイアント電波銀河は、目に見える銀河本体の何倍も何十倍も大きな範囲から、強力な電波を出しています。この電波の放出領域は「電波ローブ」と呼ばれ、まるで翼のように銀河の中心から広がる巨大なプラズマの塊です。その大きさはなんと230万光年以上にも達し、これまでの宇宙で知られている中で最も大きな「単一の天体」と考えられています。

ちなみに、私たちの天の川銀河の直径は約10万5700光年。今回発見された新しいジャイアント電波銀河は、小さなものでも370万光年、最大のものは1240万光年もの幅があります。この最大の銀河「ASKAP J0107–2347」には、天の川銀河がなんと117個以上もすっぽり収まってしまう計算になります。想像を絶するスケールですね。

超大質量ブラックホールがエネルギー源

なぜ、ジャイアント電波銀河はこれほどまでに巨大な電波ローブを持つのでしょうか?その秘密は、銀河の中心に潜む「超大質量ブラックホール」にあります。

ほとんどの大きな銀河の中心には、太陽の何百万倍、何億倍もの質量を持つ「超大質量ブラックホール」があると考えられています。このブラックホールが周囲のガスや塵(ちり)を吸い込むとき、その一部は強力なエネルギーのジェットとなって、光に近い速度で宇宙空間に噴き出されます。このジェットが噴き出す中心領域は「活動銀河核(AGN)」と呼ばれます。

ジャイアント電波銀河の「電波ローブ」は、このジェットが宇宙空間の物質と衝突することで発生する、膨大な電波を放出する領域なのです。ジェットが遠くまで伸びることで、電波ローブも巨大に成長していきます。

ブラックホールは常に活動しているわけではなく、物質を吸い込むのをやめると、ジェットの活動も止まります。すると、電波ローブもゆっくりと消えていきます。しかし、銀河同士が合体するなど、何らかのきっかけで再びブラックホールの活動が活発になると、新しいジェットが噴き出し、内側に明るい電波ローブが形成されることもあるそうです。

オーストラリアの電波望遠鏡「ASKAP」の威力

今回の発見を可能にしたのは、オーストラリアの西部に設置されている「オーストラリア・スクエア・キロメートル・アレイ・パスファインダー(ASKAP)」という最先端の電波望遠鏡です。

ASKAPは、直径12メートルのパラボラアンテナが36台も並べられた大規模な施設で、まるでチェス盤のような特殊な受信機を搭載しています。これにより、一度に30平方度という非常に広い範囲の空を観測することができます。これは、これまでの電波望遠鏡が一度に1平方度程度しか見られなかったのと比べると、圧倒的な広さです。

研究チームのリーダーであるベアベル・シルビア・コリバルスキー博士は、「ASKAPが作り出す画像は、まるで宝の山だ!」と語っています。その広い視野と高い感度のおかげで、これまで見逃されていた遠くの、あるいは薄暗い電波ローブを持つジャイアント電波銀河を大量に発見できるようになったのです。

宇宙の歴史を紐解く「入れ子構造」の電波ローブ

特に注目されるのは、今回発見された最大のジャイアント電波銀河「ASKAP J0107–2347」です。この銀河は、私たちから約15億光年離れた場所に位置し、1240万光年もの巨大な電波ローブを持つだけでなく、その電波ローブが「入れ子」のように二重になっていることが分かりました。内側には明るく短い電波ローブが、外側には薄暗く細長い電波ローブが見つかったのです。

これは、ブラックホールの活動が一度止まり、その後再び活発になった証拠だと考えられています。古い外側のローブが衰え、新しい内側のローブが形成されるというこの現象は、ジャイアント電波銀河がどのようにしてこれほど巨大になったのか、そして超大質量ブラックホールがいつ活動を始めたり止めたりするのかを探る、貴重な手がかりとなります。コリバルスキー博士はこれを「銀河の考古学」と表現しています。

さらに、ジャイアント電波銀河の成長には、「銀河団の気象」(Cluster weather)と呼ばれる、銀河団内で銀河同士が互いに影響し合うダイナミックな相互作用も関係している可能性があるとされています。これにより、電波ローブの拡大が妨げられたり、独特な形状が作られたりすることもあるそうです。

日本への影響と今後の展望

今回のジャイアント電波銀河の大量発見は、遠く離れた宇宙の出来事ですが、私たち日本にも無関係ではありません。宇宙の最も大きな構造を理解することは、宇宙全体の進化や物理法則を深く理解することにつながります。日本の天文学者たちも、すばる望遠鏡アルマ望遠鏡など、世界に誇る観測施設を使って宇宙の謎に挑んでおり、今回の成果は彼らの研究にも大きな刺激となるでしょう。

また、ASKAPのような最先端の電波望遠鏡がもたらす革新的な観測技術は、日本が将来、次世代の宇宙望遠鏡を開発する上でのヒントにもなり得ます。国際的な協力体制の中で、日本も宇宙研究のフロンティアを切り開く一翼を担っています。

宇宙の謎を解き明かす「鍵」

この発見は、ジャイアント電波銀河が「成長を妨げるものがなければ、ひたすら膨張し、次第に消えていく」という仮説を裏付けるものと考えられています。ASKAPのような「深い」観測ができる望遠鏡のおかげで、これまで見えなかった古い、薄暗い電波ローブも捉えられるようになり、銀河の成長のタイムスケールを詳しく調べることが可能になりました。

コリバルスキー博士は、ASKAPの今後の観測によって、さらに多くのジャイアント電波銀河が見つかるだろうと期待しています。これまで「珍しい天体」とされてきたジャイアント電波銀河が、実は宇宙にたくさん存在し、その成長の仕方も多様であることが明らかになるかもしれません。

探求は続く、宇宙の壮大な物語

今回のジャイアント電波銀河の大量発見は、私たちの宇宙に対する理解を大きく深めるものです。特に、超大質量ブラックホールの活動と電波ローブの進化の関係が、「ASKAP J0107–2347」のような二重構造の銀河によって、より詳細に解き明かされようとしています。

宇宙には、私たちがまだ知らない驚くべき天体や現象が数多く存在します。科学技術の進歩によって、これまで見えなかったものが「見える」ようになり、宇宙の壮大な物語が少しずつ解き明かされていく。この宇宙の探求は、人類の知的好奇心を永遠に刺激し続けることでしょう。これからの宇宙研究の進展に、ますます目が離せませんね。