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「スター・ウォーズ」やUSJも進化!ゲームエンジン「Unreal Engine」がエンタメの未来をどう変えるか

普段、私たちが体験するエンターテイメントの世界は、目まぐるしく進化していますよね。特に『スター・ウォーズ』のような壮大な世界観を持つ作品や、テーマパークでの没入感あふれる体験は、私たちの日常にワクワクを与えてくれます。

そんな中、ゲーム開発だけでなく、映画やテーマパークの制作にも革新をもたらしている技術があることをご存知でしょうか?アメリカのエンタメニュースサイトIGNが報じた「How Unreal Engine Is Changing Star Wars, Theme Parks, and the Future of Movies」という記事では、その秘密が明かされています。

今回はこの記事を基に、Unreal Engineという技術が、どのようにして『スター・ウォーズ』の世界をよりリアルに、そしてテーマパークの体験をゲームのように面白く変えているのか、さらに、これからの映画制作がどう変わっていくのか、その最前線を見ていきましょう。まるでSFの世界が現実になったかのような、驚きの内容が盛りだくさんですよ!

Unreal Engineが拓く、エンタメ体験の新たな地平

ゲームエンジンUnreal Engine(アンリアルエンジン)」は、数々の人気ゲームを生み出してきたことで世界的に有名です。しかし、その活躍の場はゲームの世界だけにとどまりません。今やこの最先端技術は、テーマパークのアトラクションやハリウッド映画の制作現場でも、なくてはならない存在となりつつあります。

ディズニーランドがゲームに?『ミレニアム・ファルコン』の裏側

ディズニーパークの「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」にある人気アトラクション「ミレニアム・ファルコン:Smuggler’s Run(スマグラーズ・ラン)」。ここでは、ゲストが6人乗りのクルーとして、伝説の宇宙船ミレニアム・ファルコン号を自ら操縦するという、まるでビデオゲームのような体験ができます。

コックピットの動きや、窓の外に広がる宇宙の映像はすべてリアルタイムで連動しており、まさに映画の世界に飛び込んだかのような没入感を生み出しています。この驚くべき体験の裏側を支えているのが、Unreal Engine 4を基に開発されたカスタムバージョンです。

ディズニーの体験開発を担うウォルト・ディズニーイマジニアリング(Walt Disney Imagineering)のアサ・カラマ氏によると、映画のような臨場感を出すため、光がにじむブルーム効果や、動きを滑らかに見せるモーションブラーといった独自のカスタマイズが施されたといいます。特にモーションブラーは、現実には存在しない効果ですが、『スター・ウォーズ』らしさを表現するには不可欠な要素でした。

また、このアトラクションは5台のプロジェクターを連結して映像を投影するという特殊な環境のため、Unreal Engineの標準機能の多くはそのまま使えず、独自の技術開発が必要でした。しかし、その結果として、VFXの大家インダストリアル・ライト&マジック(ILM)が提供する映像素材(アセット)と見事に融合し、本格的で『スター・ウォーズ』の世界観にふさわしいビジュアルが実現したのです。

Unreal Engine 5への進化で、体験はさらに深く

「Smuggler’s Run」では現在、2026年5月公開予定の映画『The Mandalorian and Grogu』に合わせた新しいミッションが開発されています。この新ミッションでは、グラフィックをさらに向上させるため、エンジンがUnreal Engine 4から最新の「Unreal Engine 5」へとアップグレードされる予定です。

「最新世代のハードウェアに移行し、Unreal Engine 5にアップグレードすることで、さらに豊かなビジュアル表現が可能になります」とカラマ氏は語ります。このアップデートにより、アトラクションの体験はさらにリアルで没入感のあるものになるでしょう。

新しいミッションでは、プレイヤーの選択によってクラウド・シティやコルサントといった異なる場所へ移動できるようになり、訪れるたびに新しい発見がある、よりインタラクティブな体験が提供される予定です。Unreal Engineは、テーマパークのアトラクションを単なる「乗り物」から、プレイヤーの行動が世界に影響を与えるインタラクティブな体験へと進化させているのです。

映画制作の常識を覆すUnreal Engineの力

ゲーム開発で培われたUnreal Engineの技術は、映画制作の現場にも大きな変化をもたらしています。

プレデター』最新作を支えた“動くコンセプトアート”

SFホラー映画の金字塔『プレデター』シリーズ。その最新作であるアニメーション映画『プレデター:最凶頂上決戦』(原題:Predator: Killer of Killers)は、Unreal Engine 5を駆使して全編が制作されました。

制作を手がけたのは、『マンダロリアン』や『アソーカ』といった『スター・ウォーズ』作品のVFXも担当したThe Third Floor社です。同社の最高クリエイティブ責任者であるジョシュア・ワッスン氏は、「Unreal Engineは、独自の芸術性を追求できる自由なプラットフォームだ」と語ります。

彼らが目指したのは、まるで「動くコンセプトアート」のような、手描きの温かみを持つ映像表現。そのために、数百枚の絵画をUnreal Engineに取り込み、リアルタイムでレイヤーを重ね合わせるという革新的な手法を用いました。

特に圧巻なのは、98体ものキャラクターが入り乱れて戦う複雑な長回しシーンです。ワッスン氏によれば、Unreal Engineのリアルタイムフィードバック機能があったからこそ、このダイナミックな映像を驚異的なスピードで制作できたといいます。通常なら1カットに1~3週間かかるところを、アーティスト1人あたり4~5時間で完成させられたという事実は、制作期間の短縮とコスト削減に大きく貢献したことを物語っています。

インディー予算でハリウッド級に挑む『ローグ・トルーパー』

イギリスのコミック『2000 AD』の人気キャラクターを原作とした映画『Rogue Trooper』も、Unreal Engine 5で制作が進んでいます。この作品を手がけるのは、原作の権利を持つゲーム会社Rebellion Developmentsです。

同社のCEO、ジェイソン・キングスレイ氏によれば、この映画は「インディー映画の予算」で作られているとのこと。本来なら数億ドル規模の予算が必要なSFアクション映画を、Unreal Engine 5の活用で大幅にコストを抑えながら実現しようとしています。「限られた予算でクリエイティブな挑戦をしたいインディー制作者にとって、Unreal Engineは大きな可能性を開いてくれる」とキングスレイ氏は期待を寄せます。

しかし、制作陣は「ビデオゲームのように見えないこと」を最重要視しました。撮影監督や照明の専門家をチームに迎え、映画制作のノウハウを制作プロセスに落とし込んでいます。

また、本作では「MetaHuman」という、Unreal Engine 5のリアルなデジタルヒューマンを生成・操作する技術も活用されています。これにより、キャラクターに命を吹き込み、作品の世界観を豊かに表現しています。キングスレイ氏は、実写では難しい立体的な霧の表現なども、Unreal Engineだからこそ積極的に取り入れられると語りました。

このようにUnreal Engineは、アニメーションからインディー映画まで、制作期間の短縮、コスト削減、そしてこれまでにない表現の可能性を切り拓いているのです。

【記者の視点】創造性の民主化がもたらす光と影

Unreal Engineがエンターテイメント制作のあり方を根底から変えつつあるのは、もはや疑いようのない事実です。この「創造性の民主化」は、素晴らしい可能性を秘めている一方で、私たちに新たな問いを投げかけているようにも思えます。

最大の光は、なんといってもクリエイターの裾野が広がることでしょう。『Rogue Trooper』の事例が示すように、これまで莫大な予算の壁に阻まれていたアイデアが、個人や小規模なチームの手によって形にできるようになります。これは、ハリウッド大作とは一味違う、より実験的で斬新な作品が生まれる土壌となり、私たちの文化全体を豊かにしてくれるはずです。

しかし、誰もが高品質な映像を手軽に作れるようになると、逆に表現が画一化してしまう、いわゆる「Unreal Engineっぽさ」が生まれる懸念もあります。『プレデター:最凶頂上決戦』の制作陣が「動くコンセプトアート」という独自のスタイルを追求したように、これからのクリエイターには、ツールを使いこなすだけでなく、いかに自分だけの表現を生み出すかという「作家性」が、これまで以上に問われることになるでしょう。

そして忘れてはならないのは、どんなに映像技術が進化しても、私たちの心を本当に動かすのは、優れたストーリーや魅力的なキャラクターだということです。技術はあくまで表現の翼。その翼でどこへ飛ぶのか、何を伝えたいのかという、創作活動の核となる部分が、今後さらに重要になっていくのではないでしょうか。

エンタメの未来はここから始まる:Unreal Engineがもたらす創造性の解放

スター・ウォーズ』の世界への完全な没入から、インディー映画の予算で実現する壮大なSF作品まで、Unreal Engineが私たちのエンターテイメント体験を、より豊かで身近なものへと変えつつあることがお分かりいただけたでしょうか。

この技術革新は、ゲーム、映画、テーマパークといったジャンルの垣根を溶かし、一つのIP(キャラクターや物語などの知的財産)が様々なメディアで、一貫した世界観のもとに展開される未来を加速させます。もはや私たちは単なる「観客」ではなく、物語の選択に関わる「参加者」としてエンターテイメントを楽しむ時代が来るのかもしれません。

次にあなたが映画を観たり、テーマパークを訪れたりしたとき、その圧倒的な世界の裏側で、クリエイター達がどんな魔法(技術)を駆使しているのか、少しだけ想像してみてください。きっと、いつもとは違う視点で作品をより深く味わえるはずです。

そして、もしあなたの中に「何かを創ってみたい」という小さな炎があるのなら、今こそその一歩を踏み出す絶好のチャンスです。Unreal Engineのようなツールは、あなたのアイデアを世界に届けるための、かつてないほど強力な翼となってくれるでしょう。エンターテイメントの未来は、もはや一握りの専門家だけのものではなく、私たち一人ひとりの創造力の中に眠っているのです。