この動きは、海外メディアAndroid Authorityが報じた「Google Photos rolls out tools to turn your photos into anime, comics, and more」に基づくものです。本記事では、この注目のAI新機能が私たちの写真体験をどう変えるのか、分かりやすく解説します。
写真が動き出す!Googleフォトの2つのAI新機能
Googleフォトに、お気に入りの写真をさらにクリエイティブに楽しむための2つの強力なAI機能が加わります。1枚の写真が生き生きとした動画になったり、個性豊かなアート作品に生まれ変わったりするのです。ここでは、その新機能を詳しく見ていきましょう。
1. 写真が6秒の動画に:「Veo 2」で思い出が動き出す
1つ目は、写真から動画を生成する機能です。これはGoogle DeepMindが開発した最新の動画生成AIモデル「Veo 2」を活用したもので、1枚の静止画を6秒の動画クリップに変換します。
この機能は2025年7月23日より、まず米国のAndroidおよびiOSユーザー向けに提供が開始されます。
2. 写真がアート作品に:「Remix」でイラスト化
2つ目は、写真を様々なスタイルのイラストに変換する「Remix」です。アニメ、コミック、スケッチ、さらには3Dアニメーション風まで、多彩なタッチで写真を加工でき、アイデア次第でユニークな作品を生み出せます。
この機能は、今後数週間以内にまず米国で提供が開始される予定です。
新設「作成」タブでAI機能をより使いやすく
これらのAI機能をすぐに見つけられるよう、Googleフォトには新たに「作成」タブ(Create tab)が追加されます。このタブにはAIを活用した動画化やイラスト化などのツールが集約されるため、ユーザーは新機能を簡単に見つけて試せるようになります。
「作成」タブは、アプリ画面下の「コレクション」と「検索」の間に配置され、8月から順次提供が開始される予定です。これにより、AIを使ったクリエイティブな写真活用が、より身近で楽しいものになるでしょう。
AI生成の「証」で透明性を確保する「SynthID」
AIによるコンテンツ作成が身近になる一方、それがAI製であることを見分ける重要性も増しています。この課題に対応するのが、Google DeepMindが開発した「SynthID」です。これはAIが生成した画像や動画に電子透かしを埋め込む技術で、生成物には人間の目には見えない透かしと、目に見える形のウォーターマークの両方が表示されます。
このSynthIDは専用ツールで検出でき、「AI生成コンテンツである」と識別することで情報の透明性を確保します。AI生成物には事実と異なる内容が含まれる可能性もあるため、この技術は私たちが情報の信頼性を判断する上で重要な手がかりとなります。
YouTube ShortsでもAIによる動画化機能が展開
写真の動画化機能は、GoogleフォトだけでなくYouTube Shortsにも導入されます。まずは米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで来週中に提供が始まり、年内には他の地域へも拡大される予定です。
さらに、YouTubeではAI機能を試せる「AI playground」が2025年7月23日より利用可能になっています。これはGoogleの最新AIツールや作例ギャラリー、プロンプトのヒントがまとめられた場で、ユーザーは手軽にAIコンテンツの生成を体験できます。
AIが拓く創造性の未来と向き合うべき課題
今回のGoogleフォトの進化は、単なる機能追加にとどまりません。私たちの「思い出の保管庫」が、AIによって「創造性を刺激する遊び場」へと変わる、大きな転換点と言えるでしょう。1枚の写真から動画やイラストが生まれることで、過去の瞬間が新たな形で輝き始め、写真との付き合い方が根底から変わる可能性を秘めています。
特に注目すべきは、楽しさの追求と同時に「SynthID」で透明性を確保している点です。AIによるクリエイティブな表現が広がる一方、生成物が本物と誤解されるリスクも伴います。Googleが示す、技術の楽しさと「責任」を両立させようとする姿勢は、私たちがAIと賢く付き合っていく上で重要な指針となるでしょう。
スマートフォンに眠る一枚の写真が、感動的なショートムービーや世界に一つだけのアート作品に生まれ変わるかもしれません。このAIがもたらす新たな体験を、気軽に試してみてはいかがでしょうか。
