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宇宙は永遠ではない?「逆ビッグバン」で迎える終焉【最新研究】

夜空を見上げ、この広大な宇宙に終わりがあると考えたことはありますか? ビッグバンで始まった私たちの宇宙は、永遠に膨張し続けるというのが通説でした。しかし、科学ニュースメディアが報じた「物理学者ら、宇宙が『逆ビッグバン』で終焉を迎える時期を予測」という最新の研究が、その常識を覆すかもしれない驚きのシナリオを示しています。

それは、宇宙がある時点から収縮に転じ、やがて一点に潰れてしまう「逆ビッグバン」とも呼べる最期を迎えるというもの。物理学者たちが予測する、衝撃的な宇宙の未来を見ていきましょう。

宇宙は永遠ではなかった?定説を覆す「ビッグクランチ

これまで、現代宇宙論では「宇宙は永遠に膨張し続ける」というのが有力な説でした。その原動力とされてきたのが、宇宙の全エネルギーの約7割を占める謎の存在「ダークエネルギー」です。これは空間全体に広がり、「反発する重力」のように宇宙を外側へ押し広げる力だと考えられていました。

しかし、最新の研究は、このダークエネルギーの性質が一定ではない可能性を示唆しています。もしその力が時間とともに弱まるなら、宇宙の運命は一変します。

研究チームが提唱するのは、宇宙がやがて膨張を止め、自らの重力によって収縮に転じるという新たなシナリオです。そして、すべての物質が再び一点に凝縮して終焉を迎える。この現象は、宇宙の始まりであるビッグバンの逆の過程であるため、「ビッグクランチ」と呼ばれています。

宇宙の最期はいつ?「逆ビッグバン」までのタイムライン

では、その終わりはいつ訪れるのでしょうか。研究チームの計算モデルは、宇宙の寿命について具体的な数字を示しています。

このモデルによれば、宇宙の総寿命は「約333億年」。現在の宇宙年齢は約138億年とされているため、この予測が正しければ、宇宙に残された時間はおよそ200億年となります。

宇宙が終焉を迎えるまでのタイムラインは、次のように予測されています。

  • 今から約110億年後:宇宙の膨張が止まり、最大サイズに到達。
  • その後約80億年かけて収縮:最大サイズに達した宇宙は収縮に転じ、約80億年かけて一点に凝縮し、ビッグクランチで終焉を迎える。

膨張期間よりも収縮期間が短いのは、密度が高まるにつれて重力も強まり、収縮が加速するためだと考えられています。

宇宙の運命を握る「ダークエネルギー」の謎

この終焉シナリオの鍵を握るのが、ダークエネルギーの性質が時間と共に「進化」するという考え方です。

具体的には、アインシュタイン一般相対性理論に登場する「宇宙定数(λ)」が、これまで考えられていたような宇宙を押し広げる力ではなく、わずかに負の値を持つ「引き寄せる力」として作用している可能性が指摘されています。

さらに、このモデルでは「アクシオン」という仮説上の素粒子が、ダークエネルギーのように振る舞うとされています。アクシオンは、初期の宇宙では膨張を後押ししますが、その影響力は時間とともに弱まります。これは、追い風で坂道をぐんぐん上っていた自転車が、風がやむと失速して下り始める様子に似ています。

つまり、宇宙はまずアクシオンの力で膨張を続けますが、その力が弱まると、宇宙定数が持つ本来の「引き寄せる力」が優勢になります。その結果、膨張は止まり、宇宙は一気に収縮へと転じるのです。

宇宙の終焉シナリオが私たちに問いかけるもの

「約200億年後に宇宙が終わる」と聞いても、私たちの日常とはかけ離れた未来に、すぐには実感が湧かないかもしれません。しかし、この壮大な物語は、未来への不安を煽るものではなく、むしろ私たちが「今」を見つめ直す新しい視点を与えてくれます。

もちろん、今回提唱されたシナリオはまだ仮説の一つにすぎず、真偽を確かめるには今後の観測が不可欠です。ダークエネルギーの正体を突き止めるため、日本の研究機関を含む世界中の科学者たちが、今この瞬間も探求を続けています。この果てしない謎解きのプロセスこそ、科学の醍醐味といえるでしょう。

永遠と思われた宇宙にも「寿命」があるかもしれないという視点は、始まりと終わりがある壮大な物語の中で、私たちがどれほど奇跡的で貴重な瞬間に生きているかを教えてくれます。

この記事を読み終えた後、ふと夜空を見上げてみてください。そこに広がる星々の輝きが、いつもとは少し違って見えるかもしれません。宇宙の終わりを想像することは、巡り巡って、私たちがこの世界でどう生きるかを考えるきっかけを与えてくれる、壮大な思考実験なのです。