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12歳が自宅で核融合に成功、世界最年少記録に挑むテキサスの少年

太陽が輝くのと同じ原理で、2つの原子を融合させてエネルギーを生み出す「核融合」。数十年の歳月と巨額の資金を投じて世界中の研究者が実用化を目指しているこの技術を、テキサス州ダラスに住む12歳の少年が、自作の装置で実現しました。「12歳が自宅で核融合装置を製作、世界初の快挙」と報じられたこの驚きのニュースの全貌を紹介します。

8歳で核物理学に目覚めた少年

テキサス州ダラスの中学1年生、エイデン・マクミランくんは、8歳のときに核融合という概念に出会い、夢中になりました。「核融合は未来のエネルギーだと思う」と語るエイデンくんは、まず2年間にわたって核物理学の基礎を独学で学びました。

10歳になると、ダラスにある学生向けの非営利メイカースペース「ローンチパッド」で、実際に装置の試作を開始します。ローンチパッドは野心的なプロジェクトに取り組む学生を支援する施設で、エイデンくんは放課後の時間を使って開発を続けました。

そして2026年2月、4年間の挑戦が実を結びます。彼の装置から中性子が検出されたのです。中性子の放出は、核融合反応が起きたことを示す重要な指標です。もしギネス世界記録に認定されれば、エイデンくんは核融合を達成した世界最年少の記録保持者になります。

核融合はなぜ「夢のエネルギー」なのか

核融合とは、水素のような軽い原子核を超高温・超高圧の環境で融合させ、より重い原子核に変える反応です。この過程で膨大なエネルギーが放出されます。太陽はまさにこの核融合反応で輝いています。

核融合が「夢のエネルギー」と呼ばれる理由は大きく3つあります。

  • 燃料が豊富: 海水中に含まれる重水素を燃料にできるため、事実上無尽蔵
  • 放射性廃棄物が大幅に少ない: 核分裂(現在の原子力発電)と異なり、長寿命の高レベル放射性廃棄物を大幅に抑えられる
  • CO2を排出しない: 気候変動対策として理想的なクリーンエネルギー

ただし、核融合を安定的に維持し、投入したエネルギーより多くのエネルギーを取り出す「エネルギー収支のプラス転換」は、商用発電レベルではまだ達成されていない大きな課題です。一般的にはトカマクと呼ばれる巨大な磁場閉じ込め装置が使われますが、プラズマの安定制御は依然として困難を伴います。

前記録保持者とFBIの訪問

エイデンくんの前に世界最年少記録を持っていたのは、テネシー州メンフィスのジャクソン・オズワルトくんです。オズワルトくんは2018年、13歳の誕生日を迎える直前に自宅で核融合を達成しました。

オズワルトくんのケースでは、自宅に核融合装置があるという情報を受けて、FBIの担当者がガイガーカウンターを持って自宅を訪れ、安全確認を行ったという一幕もありました。結果的に放射線の危険はなく、安全が確認されています。

エイデンくんの母親も、装置の安全性について徹底的に情報を求めたといいます。どのようなリスクがあるのか、どう事故を防ぐのかを把握した上で、息子の挑戦を見守りました。

記者の視点:「遊び場」から生まれるイノベーション

このニュースで印象的なのは、エイデンくんの核融合装置がダラスの何気ないレンガ造りの建物の中にあるメイカースペースで生まれたことです。高額な研究施設ではなく、放課後に学生が集まりものづくりに打ち込む場が、世界記録級の成果を生みました。

日本でも近年、学校外のSTEAM教育施設やメイカースペースが増えていますが、子どもの好奇心に応える「場」の重要性をこのニュースは示しています。核融合の実用化にはまだ長い道のりがありますが、未来のエネルギーを切り拓くのは、こうした好奇心の芽を摘まない環境かもしれません。

12歳の挑戦が示す科学の可能性

エイデンくんの核融合は、商業的なエネルギー生産に直結するものではありません。しかし、「面白いからやった」という純粋な好奇心から世界記録に挑む姿は、科学の原点そのものです。

ギネス世界記録の認定結果はまだ出ていませんが、すでに全米メディアが注目しています。8歳で抱いた夢を4年かけて形にしたこの少年のストーリーは、年齢や環境に関係なく、好奇心と粘り強さがあれば科学の最前線に手が届くことを教えてくれます。