ワカリタイムズ

🌍 海外ニュースを「わかりやすく」

半世紀ぶりの有人月周回へ、NASAアルテミスII打ち上げカウントダウン開始

1972年12月、アポロ17号の宇宙飛行士が月面を離れてから、53年余り。ついに人類が再び月を目指すときがやってきました。NASAは「準備は整った:NASAアルテミスII、4月1日打ち上げへ」と発表し、有人月探査ミッションアルテミスIIのカウントダウンが始まっています。日本時間4月2日朝、4人の宇宙飛行士を乗せたロケットがフロリダの空へ飛び立つ予定です。

アポロ以来の有人月飛行

アルテミスIIは、NASAが進めるアルテミス計画の一環で、同計画として初めて宇宙飛行士を乗せて月の周辺を飛行するミッションです。打ち上げは米国東部夏時間4月1日18時24分(日本時間4月2日午前7時24分)に予定されており、2時間の打ち上げウィンドウが設けられています。天候が打ち上げ条件を満たす確率は80%と良好です。

使用されるのは、NASAの大型ロケットSLSとオリオン宇宙船。2022年の無人テスト飛行「アルテミスI」で月を周回した実績を持つシステムに、今回は初めて人が乗り込みます。ミッション期間は約10日間。宇宙船は「自由帰還軌道」と呼ばれるルートを飛行し、月の裏側を通過した後、地球へ帰還します。月面への着陸は行いませんが、深宇宙での生命維持や通信、再突入などを有人で検証する重要なテスト飛行です。

歴史を塗り替える4人のクルー

今回のミッションには、4人の宇宙飛行士が搭乗します。

  • コマンダー: リード・ワイズマン(NASA)
  • パイロット: ビクター・グローバー(NASA)
  • ミッションスペシャリスト: クリスティーナ・コック(NASA)
  • ミッションスペシャリスト: ジェレミー・ハンセン(カナダ宇宙庁)

このクルー構成には、いくつもの「史上初」が含まれています。グローバー飛行士は有色人種として初めて、コック飛行士は女性として初めて、地球の低軌道を超えた深宇宙へ向かう宇宙飛行士になります。またハンセン飛行士は、米国人以外で初めてこの領域に踏み込む人物です。コック飛行士は記者会見で「個人の記録よりも、全員が安全に帰還することが最優先」と語り、歴史的偉業への謙虚な姿勢を見せました。

打ち上げまでの道のりと技術的課題

アルテミスIIの道のりは平坦ではありませんでした。当初2024年の打ち上げを予定していましたが、オリオン宇宙船の耐熱シールドの問題や、SLSロケットの極低温推進剤の漏洩といった技術的課題が見つかり、延期を重ねてきました。

しかしNASAは一つひとつの問題を着実に解決してきました。推進剤の漏洩については逆止弁の設計変更とシールの改良で対応。2026年3月には飛行準備審査を完了し、最終レビューで全会一致の「Go」判断が下されています。3月30日にはカウントダウンクロックが動き始め、あとは打ち上げの瞬間を待つばかりです。

もし4月1日に打ち上げられなかった場合でも、4月2日から6日、および4月30日に予備日が設定されています。

記者の視点:日本にとっての「月への帰還」

アルテミスIIは日本にとっても他人事ではありません。アルテミス計画には日本のJAXAも参加しており、将来のミッションでは日本人宇宙飛行士が月面に立つ計画があります。今回のミッションが成功すれば、それは日本人の月面到達への重要な一歩でもあるのです。

さらに注目すべきは、このミッションの多様性です。半世紀以上前のアポロ計画では、月に向かったのは全員が白人男性のアメリカ人でした。今回は有色人種、女性、そして米国以外の国の飛行士が含まれています。宇宙探査が特定の国や人々だけのものではなく、人類全体の営みへと変わりつつあることを象徴しています。

半世紀の空白を超えて、新たな月時代が始まる

世界50か国以上から寄せられた2600件超の応募から選ばれた無重力インジケーター「Rise」も、クルーとともに宇宙へ向かいます。「地球の出」に着想を得たこのマスコットは、半世紀ぶりに月へ向かう人類の新たな出発を象徴する存在です。

アルテミスIIは月面着陸こそ行いませんが、その先にあるアルテミスIIIでの有人月面着陸、さらには火星探査へとつながる布石です。日本時間4月2日の朝、約半世紀の空白を超えて月へ向かう4人の姿は、宇宙開発の新たな時代の幕開けを告げることになるでしょう。