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中国DeepSeekが新型AI「V4」を公開、桁違いの低コストで最先端に迫る

ChatGPTやClaudeといったAIを日常的に使う人が増えていますが、その裏では各社が激しい開発競争を繰り広げています。そこに中国のDeepSeekが新モデルを投入しました。「中国のDeepSeekが待望のAIモデルアップデートを公開」と報じられたニュースによると、中国のAIスタートアップDeepSeekが最新モデルDeepSeek-V4シリーズを4月24日にプレビューリリースしました。注目すべきは、最先端モデルに匹敵する性能を桁違いに安い価格で実現している点です。

1.6兆パラメータの「賢い節約家」

DeepSeek-V4シリーズには2つのモデルがあります。上位版のV4-Proは総パラメータ数1.6兆という巨大なモデルですが、実際に動くのはそのうち490億パラメータだけ。これはMixture-of-Experts(MoE)と呼ばれる設計で、質問の種類に応じて「専門家」を切り替える仕組みです。全員を同時に働かせるのではなく、必要な人材だけを呼ぶ効率的な組織のようなものです。

軽量版のV4-Flashは総パラメータ数2,840億、アクティブパラメータ130億とさらにコンパクト。どちらも100万トークンという長大なコンテキスト(文脈)を処理できます。これは、文庫本にして約10冊分のテキストを一度に読み込める計算です。

新たに導入されたトークン単位の圧縮とDSA(DeepSeek Sparse Attention)を組み合わせた注意機構により、DeepSeekの技術レポートによると、前世代のV3.2と比べて推論に必要な計算量を約73%、メモリ使用量を約90%削減したとしています。

「オープンウェイト1位」の衝撃

性能面でも目覚ましい結果が出ています。V4-Proは一般知識のベンチマークでGoogleのGemini 3.1 Proに次ぐ2位にランクイン。数学、STEM(理工系分野)、プログラミングではオープンウェイトモデルの中でトップの成績を収めました。

LLM評価プラットフォームのVals AIは、V4がコーディング能力を測る「Vibe Code Benchmark」でオープンウェイトモデル首位になったと報告しています。

さらに注目すべきは価格です。V4-Flashの利用料金は100万入力トークンあたり0.14ドル(約22円)、出力は0.28ドル(約45円)。米国大手AI企業の主力モデルと比較して大幅に安い水準です。V4-Proでも入力約277円、出力約555円と、性能を考えれば破格の設定です。

ファーウェイ製チップでも動く意味

今回のリリースで見逃せないのが、ファーウェイのAscend NPU(AI専用プロセッサ)とV4の互換性が示された点です。米国の輸出規制により、中国企業はNVIDIAの最新GPUを入手できない状況が続いています。中国製チップでの動作対応は、中国のAI産業が自国の半導体エコシステムでの運用を本格的に進めていることを示唆しています。

モデルの重みはMITライセンスでHugging Faceに公開されており、商用利用を含めてダウンロード可能です(ただし実運用には相応の計算資源が必要です)。従来のdeepseek-chatdeepseek-reasonerは2026年7月24日に廃止される予定で、V4への移行が促されています。

記者の視点:AI開発は「効率」の時代へ

2025年1月にDeepSeek-R1が発表された際、シリコンバレーは衝撃を受けました。当時は「低コストで高性能」というコンセプトが注目されましたが、V4ではそれがさらに先鋭化しています。パラメータを巨大にするだけの時代は終わり、いかに少ない計算資源で最大の性能を引き出すかが勝負になっています。

日本のAI活用にとっても、これは重要な転換点です。高性能AIの利用コストが劇的に下がれば、中小企業やスタートアップでも最先端のAI技術を導入しやすくなります。一方で、日本の半導体産業にとっては、中国がファーウェイ製チップでAI開発を加速させている現実を直視する必要があるでしょう。

「安くて賢い」がAIの新常識になるか

DeepSeek-V4の登場は、AI業界の競争軸が「誰が最も賢いモデルを作れるか」から「誰が最も効率よく賢いモデルを作れるか」に移っていることを象徴しています。OpenAI、Google、Anthropicといった先行企業も、価格競争を意識せざるを得なくなるでしょう。オープンウェイトモデルの大波が、AI市場の地図を書き換えようとしています。