ワカリタイムズ

🌍 海外ニュースを「わかりやすく」

新規ウェブサイトの3分の1がAI製、ChatGPT登場からわずか3年で激変した現実

ウェブサイトを開いたとき、その文章が人間の手で書かれたものかどうか、あなたは見分けられるでしょうか。実は今、インターネットに新しく生まれるサイトの3分の1以上がAIによって作られています。「ChatGPT登場から3年、新規ウェブサイトの3分の1超がAI生成」と報じられた研究によると、2022年11月のChatGPT公開をきっかけに、ウェブの風景は驚くべきスピードで塗り替えられていました。しかも意外なことに、AI製のコンテンツは「嘘が多い」わけではなく、むしろ「無難で明るすぎる」という別の問題を抱えていたのです。

ゼロから35%へ、たった3年の急変

2026年3月時点で、世界のウェブサイト総数は約15億。年間約6000万の新しいサイトが生まれています。英インペリアル・カレッジ・ロンドンとスタンフォード大学、そしてウェブページのアーカイブで知られるInternet Archiveの研究チームは、この新規サイトにAIがどれだけ浸透しているかを大規模に調べました。

調査は2022年8月から2025年5月までのウェブサイトを対象に、Internet ArchiveのWayback Machineに保存されたページをAI検出ツール「Pangram v3」で分析する方法で行われました。その結果が衝撃的です。ChatGPTが登場する前の2022年8月には、AI生成サイトは1件も検出されませんでした。それが2025年5月には、新規サイトの約35%がAI生成またはAI支援によるものと判定されたのです。

研究チームの共著者は「AIによるウェブの乗っ取りの速さは驚異的だ」と述べています。人類が何十年もかけて築いてきたインターネットの風景を、AIはたった3年で大きく変えてしまったことになります。

嘘は増えなかった、でも「個性」が消えていく

研究チームはAIがウェブにもたらす影響について6つの仮説を立て、検証しました。「AIの幻覚(ハルシネーション)によって誤情報が増えるのでは」「文章の多様性が失われるのでは」「出典の引用が減るのでは」といった懸念です。

結果として、6つの仮説のうち統計的に確認できたのは2つだけでした。

  • 意味的多様性の低下: AIが生成する文章は似通った表現や構成になりがちで、ウェブ全体の内容が均質化する傾向が確認された
  • ポジティブで無難な文体への偏り: AI製コンテンツはより肯定的で「無菌的」な文章になる傾向があった

一方で、驚くべきことに誤情報の増加は確認されなかったのです。AIが書いた文章だからといって嘘が多いわけではなく、出典の引用頻度も人間が書いたコンテンツと同程度でした。つまりAIの問題は「嘘をつく」ことではなく、「みんな同じことを、同じように、明るく書く」ことだったのです。

記者の視点:「デッドインターネット」は陰謀論から現実へ

この研究結果は、数年前までネットの都市伝説だったデッドインターネット理論——「インターネットのコンテンツの大半はすでにボットやAIが作っている」という説——が、冗談では済まなくなってきたことを示しています。新規サイトの35%がAI製という数字は、既存サイトも含めた全体ではまだ一部に過ぎません。しかし、この割合が今後も上昇し続ければ、数年後には「ネットで読む文章の大半がAI製」という未来が現実になりかねません。

日本でもAIライティングツールの利用は広がっており、企業メディアやアフィリエイトサイトなどでAI生成記事の活用が進んでいるとみられます。今回の研究が示した「個性の消失」は、日本語のウェブでも起きている可能性があります。

人間らしさが「価値」になる時代へ

研究チームは今後、Internet Archiveと共同でAI生成コンテンツの割合を継続的に計測するツールを開発する予定です。また、どの言語やカテゴリのサイトがAIの影響を最も受けているかについても調査を拡大する計画です。

皮肉なことに、AIがウェブを埋め尽くすほど、人間の視点や個性がにじむ文章の価値は高まっていくかもしれません。「正確だけど無個性」なAIコンテンツの海の中で、読者が本当に求めるのは、書き手の体験や感情が込められた「人間らしい」言葉ではないでしょうか。ウェブの3分の1がすでにAI製である今、私たちは「何を読み、何を信じるか」を改めて意識する必要がありそうです。