今や毎年のように「今年は史上最高気温」といったニュースを目にしますが、本当に暮らしや地球環境にどんな意味があるのでしょうか? 実は、温度がほんの少し上がるだけで、地球が「取り返しのつかない変化」=“ティッピングポイント”を迎えてしまう可能性があると報告されました。今回ご紹介する記事はScientists find that major Earth systems are on the verge of total collapse(Earth.com)です。
この記事を取り上げた理由は、パリ協定の国際約束である「1.5℃目標」が今まさに現実的な危機を迎えている点、そしてこれが日本や私たちの生活にも直結する深刻な問題だからです。
地球システムが迎える「ティッピングポイント」とは?
そもそもティッピングポイントとは何か
「ティッピングポイント」とは、日本語では「転換点」や「臨界点」と訳されます。たとえばバランスの取れた積み木が一つだけ外れると一気に崩れてしまう、というようなものです。地球温暖化でも、少し温度が上がるだけで氷床(氷のかたまり)、熱帯雨林、大洋の流れなど「重要な地球システム」が急変し、もう元に戻せなくなることがあるのです。
具体例
- グリーンランドや南極の氷床:一度大量に氷が溶け始めると、太陽の光を反射しづらくなり、さらに氷が解ける「自己強化のサイクル」が生まれます。
- 大西洋の海流(AMOC):淡水が増えて流れが弱まると、ヨーロッパの気候が急激に冷え込んだり、世界中に天候異常が起きることもあります。
- アマゾン熱帯雨林:乾燥が進み、一部が“サバンナ”化すると、二酸化炭素を貯める力が激減します。
これらは連鎖反応(ティッピングカスケード)を起こし、一つが崩れると他も次々と異変を起こすリスクが高まるという仕組みです。
1.5℃を超えても「一時的だから大丈夫」ではない
よく「1.5℃を一瞬超えても、その後戻せば問題ない」と考えがちですが、この『一時的な超過』=“オーバーシュート”でも危機は生まれます。一度転換点を越えてしまうと、元に戻すのが非常に難しい――氷床や森林の消失は何百年も続く恐れがあるのです。
専門家たちはコンピュータモデルで検証し、「高温・長期間のオーバーシュート」によって最低でもどれか一つの主要システムが崩壊する確率が格段に高まるとしています。特に2℃を超えるとリスクは急増します。
論文の核心:「今、この10年が本当に分かれ道」
新たな研究では、グリーンランド氷床・西南極氷床・大西洋の海流・アマゾン熱帯雨林の4大システムの相互作用がシミュレーションされました。その結果―― - 2100年までに1.5℃を切ることなく推移した場合、4つのシステムのうち少なくとも1つが不可逆的変化を起こす確率は24%(約4回に1回) - 一時3℃近くまで気温が上昇し、のちに下がった場合でも45%の確率で発生
つまり、現行の温暖化対策のままだと、地球の主要システムがほぼ半分の確率で元に戻せないほど変化する未来が待っています。
日本はどう巻き込まれるのか?
日本にも直結!「温暖化の連鎖」で私たちの生活が危ない
- 海流変化の影響:日本周辺の気候も大きく左右します。漁業資源の消失や大規模な天候異常、台風の強大化、長期的な冷夏や猛暑のリスクが高まります。
- グローバル経済への波及:アマゾン崩壊によるカーボン排出爆発は、カーボン税や規制強化といった国際経済の激変に直結。特に日本の自動車・製造業への影響は大きいです。
- 近年の気象災害が“前兆”に:日本ではここ数年、熱波や大雨、台風など災害が激化しています。これも地球規模のシステム変化が始まっている兆候かもしれません。
「他人事」ではない――今こそスピード感ある対応を
冒頭記事によれば、「2020年代に温室効果ガスの排出を下げ始めないと手遅れになる」と警告しています。技術開発(再生可能エネルギーや蓄電池、グリーン水素など)はもちろん、日々の行動(省エネ・消費の見直し)も求められます。
日本では海面上昇リスクや資源問題、食品価格の高騰といった目に見える形で状況が迫っています。将来世代のためにも、せめて「正常なバランスの舞台」を残すことが希望です。
地球の“積み木”が崩れる前に、私たちにできる選択
- 地球システム(氷床・海流・森林など)は連鎖して崩壊する可能性が高い
- 1.5℃超えは昔話ではなく現在進行形の危機
- 技術、個人、政策、企業…すべてのレベルで『今すぐに』CO2削減を始める必要がある
- 遅れれば遅れるほど回復不能な変化のリスクが膨大になる
今後は、国際社会の温暖化対策の強化、気候非常事態宣言、脱炭素の徹底などに日本も積極的に関わっていくことが求められます。私たち一人ひとりが現実を「自分ごと」として捉え、行動を起こすことが未来を左右します。