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細胞の「ゴミ処理場」が免疫システムを強化? 新発見がもたらす未来

科学雑誌Natureの「細胞の『ゴミ処理場』が免疫システムの新たな顔?」と題された記事によると、私たちの細胞内にはプロテアソームと呼ばれる構造体が存在し、不要になったタンパク質を分解する「リサイクルセンター」のような役割を担っています。しかし、このプロテアソームは単なる不要物処理場ではなく、これまで知られていた免疫システムとは異なる、新たな初期防御機構として機能していることが明らかになりました。

プロテアソームとは?

プロテアソームは、細胞内の不要なタンパク質を細かく分解する巨大な酵素複合体です。分解されたタンパク質はペプチド断片となり、細胞内で再利用されたり、排出されたりします。この機能は細胞の健康を保つために不可欠です。

研究のきっかけと発見

研究チームは、細胞内の不要物を処理する「プロテアソーム」を調査する中で、免疫システムにおける新たな発見をしました。「細胞の不要物を処理するシステムに注目してこなかったため、この新たな免疫システムを発見できませんでした」と研究者は述べています。研究チームは、質量分析という技術を用いて、様々な細胞でプロテアソームによって生成されるペプチド断片を特定し、それらの配列を既知の機能を持つペプチドのデータベースと比較しました。その結果、多くのペプチド断片が細菌を破壊する作用を持つことが判明しました。さらに、約1000種類のペプチド断片は、アルゴリズムによって抗菌作用を持つ可能性が高いと推定されました。

コンピューターモデルを用いて、全てのヒトタンパク質を可能な限りのペプチド断片に分解したところ、27万種類以上の抗菌ペプチド断片が存在する可能性が示唆されました。これは、新たな初期防御機構の発見につながる可能性を示しています。

「これはまさに鳥肌が立つような瞬間でした。基本的な何かを発見したかもしれないと実感したのです」と研究者は語ります。さらなる実験により、細菌感染時には、プロテアソームがその働きを調整する部分を、細菌と戦うペプチドの生成を促進するものと交換することが明らかになりました。これは、免疫細胞の活性化とは独立して機能する、最初の防御線であると研究者は述べています。

専門家による評価

この研究成果は2025年3月に学術雑誌に掲載され、専門家は、この発見が免疫学分野の多くの人々を興奮させていると語っています。「非常に身近でよく理解されていると思っていたものが、全く予期せぬエキサイティングなものをもたらしました」と専門家は述べています。最も驚くべきは、これらのペプチドが、免疫防御に特化したタンパク質ではなく、「ありふれた通常の細胞タンパク質」から生成される点であるということです。

ある専門家は、「これは、一つの遺伝子に多くの機能性を持たせるための、進化的に非常に賢い方法です」と述べています。

個人の視点からの発見

今回の発見に貢献した一人の研究者は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)による困難を乗り越え、自身の脳の働き方を強みとして受け入れ、独自の視点からこの発見に至りました。彼女のこの発見は、科学界に新たな光を投げかけています。

今後の展望

この発見は、新たな抗菌薬の開発につながる可能性を秘めています。特定されたペプチド断片を抗菌薬として開発できれば、薬剤耐性菌に対しても有効な治療法となるかもしれません。また、プロテアソームのメカニズムを利用して、免疫システムを強化し、感染症を予防することも可能になるかもしれません。今後の研究で、ペプチド断片の詳細なメカニズム解明や、安全性・副作用の問題の検討が必要となります。