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14万年前の混血児発見!ネアンデルタール人との交配、日本への影響は?

Child From World’s Oldest Burial Was Neanderthal-Homo Sapiens Hybrid

最近、「人間とは何か?」という根源的な問いに、また一つ驚くべき答えが示されました。私たち現生人類(ホモ・サピエンス)の歴史が、これまで考えられていた以上に複雑で、異なる人類の祖先たちが互いに交流し、混じり合ってきた証拠が見つかったのです。

2025年6月17日に公開されたIFLScienceの記事によると、世界最古の埋葬地から見つかった子どもが、なんとネアンデルタール人ホモ・サピエンス混血であった可能性が指摘されました。これは、私たちの祖先が単一の種として進化してきたという単純な物語ではなく、多様な人類が共存し、時には子孫を残してきた、より豊かな歴史があったことを示しています。遠い昔の出来事ですが、私たちのルーツを知る上で非常に重要なニュースです。

世界最古の埋葬地からの驚くべき発見

およそ14万年前、現在のイスラエルがあるレバント地方では、初期の人類集団が死者を埋葬するという画期的な行動を始めました。これは、人類の認知能力と行動における最も重要な飛躍の一つとされています。この地域には、タブーン洞窟、カフゼー洞窟、ネシェル・ラムラ、ティンシェメット、そしてスクール洞窟など、初期の埋葬が確認された複数の遺跡があります。

長年にわたり、これらの墓に埋葬された人々の正体は謎に包まれていました。一部の骨格は解剖学的現代人に似ているように見え、また別の骨格はネアンデルタール人により近い特徴を示していたためです。

スクール洞窟の子どもの謎を解く新たな研究

今回、研究者たちは約14万年前にスクール洞窟に埋葬された子ども(おそらく3歳から5歳の女の子)の脳頭蓋下顎骨を再調査しました。この子どもは当初、「ネアンデルタール人と現代人類の間の移行期にあるホモ属」と考えられていましたが、後に解剖学的現代人と分類されていました。

しかし、フランスやスペインで見つかったネアンデルタール人の子どもの骨と一部の類似点が見られることから、スクール洞窟の子どもが本当にホモ・サピエンスの系統に属するのかどうか、疑問を持つ研究者もいました。

そこで研究チームは、CTスキャンを使ってこの子どもの脳頭蓋下顎骨を詳しく調べ、さらに、内耳の骨迷路の3Dモデルを初めて作成しました。

混血である可能性

様々な形態的特徴を分析した結果、研究者たちは驚くべき発見をしました。

これらの特徴が混在していることから、研究者たちは、このスクール洞窟の子どもはネアンデルタール人ホモ・サピエンスの混血種であった可能性が高いと結論づけました。

進化の常識を覆す示唆

この発見は、人類の進化に対する私たちの理解を大きく変えるものです。これまで、現生人類であるホモ・サピエンスは、他の初期人類とは明確に異なる存在で、独自の進化を遂げてきたと考えられてきました。しかし、この研究結果は、中期旧石器時代のレバント地方の共同体が、異なる人類の種が混じり合い、遺伝的、生物学的、文化的に多様な集団を形成していたことを示唆しています。

研究者たちは、この子どもを特定の種に割り当てるのではなく、「スクール・パレオデーム」の一部として分類するのがより適切であると提唱しています。

この研究論文の著者の一人であるアンヌ・ダンブリクール・マラス博士は、IFLScienceへのEメールで、「この発見は古人類学の記録の空白を埋めるのに役立つ一方で、多くの疑問を残している」と語っています。「異なるホモ属のグループが交流していたことは明らかだが、具体的にどの系統なのか?レバントにはこれほど古いネアンデルタール人の化石がない。これは、まだ発見されていない化石が存在する可能性や、ホモ・サピエンスの到来以前にレバントに存在し、ネアンデルタール人のような成長要因を持って進化した『未知の土着系統』があった可能性など、様々な仮説を提起します」と述べています。

そして、「その系統が純粋なホモ・サピエンスではなかったこの子どもを埋葬したのは、一体どのような大人たちだったのだろうか?」と問いかけています。

日本から見た人類進化の多様性

このニュースは、地球の裏側で起きた遠い昔の発見ですが、私たち日本人にとっても無関係ではありません。現在、サハラ以南のアフリカに住む人々を除く世界のほとんどの現代人のゲノムには、ネアンデルタール人由来のDNAが1~4%含まれていることがわかっています。これは、私たちの祖先であるホモ・サピエンスがアフリカを出て世界に広がる過程で、各地にいたネアンデルタール人やデニソワ人といった他の人類種と出会い、そして子孫を残したという、混血の歴史があったことを示しています。

このスクール洞窟の子どもの発見は、その混血の歴史が、これまで考えられていた以上に古く、そして広範囲で行われていた可能性を示唆しています。人類の進化は、一本の木がまっすぐに伸びるように単純なものではなく、まるで複雑に絡み合うつる植物のように、多様な系統が枝分かれし、時には再結合してきたことが明らかになりつつあるのです。

終わりなき人類のルーツ探し

今回の発見は、人類の起源や進化の物語が、いかに奥深く、そしてまだ多くの謎に満ちているかを改めて教えてくれます。このスクール洞窟の子どもが示す混血の証拠は、人類史の空白を埋める重要なピースとなるでしょう。

今後、さらに多くの古代DNA解析や化石の精密な研究が進むことで、私たちの祖先がどのような交流を持ち、どのような社会を築き、そしてどのようにして現代の私たちへと繋がっていったのか、より詳細な物語が明らかになることが期待されます。人類のルーツを探る旅は、これからも私たちを驚かせ、そして「人間とは何か」という問いに対する新たな視点を与え続けてくれるはずです。未来の研究の進展に、ぜひ注目していきましょう。