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宇宙の常識を覆す連星系「KOI-3278」 光が増す謎、アインシュタイン予言を証明

恒星の前を別の天体が横切れば、光は暗くなるはずです。しかし、この常識を覆す不思議な天体が発見されました。その名は「KOI-3278」。一方の星がもう一方の星を隠すタイミングで、なんと光が逆に明るくなるのです。この現象は、かつてアインシュタインが予言した理論を証明するもので、「この『惑星』は存在するはずがない―しかしアインシュタインは88年前に予言していた」と報じられるなど、天文学界に衝撃を与えました。

この発見は、NASAケプラー宇宙望遠鏡の膨大な記録の中から見つかったもので、理論上存在するとされながらも未確認だった「自己重力レンズ連星系」が初めて観測された事例です。では、この奇妙な天体では一体何が起きているのでしょうか。

アインシュタインの予言を体現した「宇宙のレンズ」

地球からりゅう座の方向へ約2,600光年先にあるKOI-3278は、太陽によく似た恒星と、星が一生を終えた姿である高密度の「白色矮星」がペアになった連星系です。

通常、連星系では片方の星がもう一方の星の前を横切ると、光が遮られて一時的に暗くなります。しかしKOI-3278では、88.18日ごとに約5時間、全体の光が0.1%ほど増すという逆の現象が観測されました。この周期は、太陽系の水星が太陽を一周する期間とほぼ同じです。

この現象の鍵は、アインシュタイン一般相対性理論が予言した「重力レンズ効果」にあります。これは、重い天体がその重力で周囲の時空を歪ませ、近くを通過する光の進路をレンズのように曲げてしまう現象です。KOI-3278では、太陽の約63%の質量を持つ白色矮星重力レンズとなり、背後にあるパートナーの恒星の光を集めて増幅させていたのです。

この珍しい現象が観測できたのは、白色矮星の重力が強く及ぶ範囲(アインシュタイン半径)が星自体の大きさの約2倍もあり、なおかつ地球から見て二つの星の軌道がほぼ真横に並ぶという、奇跡的な条件が重なったためでした。

ケプラーのデータから見つかった「隠れた宝」とその意義

この歴史的な発見は、ある大学院生がケプラー宇宙望遠鏡の膨大な過去データを見直す中で、偶然見つけ出したものでした。KOI-3278は当初、惑星候補とされていましたが、その奇妙な光の変化は惑星によるものとは考えにくく、詳細な分析の結果、理論上は存在が予測されながらも未発見だった「自己重力レンズ連星系」であることが初めて確認されたのです。

この発見は、天体物理学において「宇宙の実験室」とも呼べる貴重な機会をもたらします。アインシュタインの理論を恒星の規模で精密に検証できるだけでなく、星同士がガスを奪い合いながら進化する複雑な過程や、連星系の力学など、長年の謎を解明する手がかりになると期待されています。

さらに、今回の発見は始まりに過ぎないのかもしれません。ケプラーなどの観測データには、KOI-3278のように「惑星」や「変光星」と誤って分類されたまま、まだ数多くの「隠れた宝」が眠っている可能性があるのです。

記者の視点:地道な探求が宇宙の扉を開く

KOI-3278の発見は、かつてアインシュタインが描いた理論が、壮大な宇宙で現実のものとなった科学のドラマと言えるでしょう。その背景には、一人の研究者による地道で粘り強いデータ分析がありました。膨大な記録の中から、わずかな「違和感」を見逃さず追求する姿勢こそが、今回の画期的な成果につながったのです。

どんな偉大な理論も、地道な観測と検証があってこそ、確固たる事実として認められます。そして時に、一人の探求者の好奇心が、宇宙の新たな扉を開く鍵となることをこの発見は教えてくれます。夜空を見上げるとき、あるいは身近な現象に目を向けたとき、「なぜだろう?」と考えること。それこそが宇宙の謎に挑む第一歩となり、私たちの世界をより豊かにしてくれるのかもしれません。

AIが拓く、宇宙探査の新たな地平

KOI-3278の発見は、天文学における新たな探査時代の幕開けを告げています。ケプラー宇宙望遠鏡などが残した膨大な記録データは、まさに「デジタルの宇宙」であり、未発見の天体や現象が眠る宝の山です。しかし、そのすべてを人間の目で検証するのは不可能に近いのが現実です。

そこで期待されているのが、AI(人工知能)の活用です。AIに特有の光のパターンを学習させ、膨大なデータの中からKOI-3278のような「隠れた宝」を体系的に探し出す試みがすでに始まっています。これにより、これまで見過ごされてきた無数の天体や、全く新しいタイプの現象が発見されるかもしれません。KOI-3278が示した道をAIがさらに切り拓くことで、恒星の進化や宇宙の法則に関する私たちの理解は、飛躍的に深まることでしょう。