ワカリタイムズ

🌍 海外ニュースを「わかりやすく」

太平洋の底に眠る「第8の大陸」ジーランディア、科学が解明した全貌

もし私たちの足元の海深くに、かつて存在した「第8の大陸」が眠っているとしたら、どう思いますか? 太平洋の底に、何億年も前から隠されてきた壮大な大陸の存在は、まるでSFの世界のようです。

この度、長年謎に包まれてきたニュージーランド周辺の広大な海底大陸ジーランディアの全貌が、科学者たちによってついに明らかになりました。この大陸は、かつて南半球の陸地の大部分を占めていた超大陸ゴンドワナ」の一部でしたが、約8500万年前に分離し、そのほとんどが海中に沈んだと考えられています。

この発見は、「太平洋の底に眠る地球「第8の大陸」ジーランディア、375年ぶりに発見」として報じられました。なぜジーランディアは大陸と認められ、そしてなぜ沈んでしまったのか。科学の進歩が解き明かした、地球の新たな姿に迫ります。

海に消えた大陸、ジーランディアの正体

ジーランディアとは、太平洋の深くに隠された広大な土地のことです。その面積は約490万平方キロメートルとオーストラリア大陸の約3分の2にも匹敵しますが、実にその94%が海面下に沈んでいます。

長い間、その存在は知られていながらも、単なる海底の隆起(海台)や、大陸としては小さすぎる「微小大陸」の一つだと考えられてきました。

しかし2017年、ある研究チームがジーランディアを正式な「大陸」として認めるべきだと発表しました。大陸と定義されるには、周囲の海底より高いこと、十分な広さがあること、そして海洋の地殻とは異なる「大陸地殻」でできていることなど、いくつかの基準があります。調査の結果、ジーランディアはこれらの基準をすべて満たしていることが判明したのです。

隠された大陸を発見した科学の力

ジーランディアが大陸として認められるまでには、長年の探求と最新技術の活躍がありました。

そもそも、その存在の可能性は古くから指摘されていました。19世紀末には、一部の科学者がニュージーランドの地質から沈んだ大陸の存在を示唆していました。1990年代には、ある研究者によって「ジーランディア」と名付けられ、その概念が広まりました。しかし、大部分が水深約2kmの海底に沈んでいるため、全貌を捉えることは困難でした。

状況を大きく変えたのが、近年の科学技術です。人工衛星で地球の重力場を測定する「衛星重力マッピング」や、音波で海底の地形を調べる測量技術によって、その広大な範囲と形状が明らかになったのです。

決定打となったのは、国際的な科学プロジェクト「国際深海科学掘削計画(IODP)」による調査です。2017年、研究チームはジーランディアの海底を掘削して地層のサンプルを採取。その中から、かつて陸上に生息していた植物の花粉や、浅い海にいた生物の化石が見つかりました。これは、ジーランディアが常に海中にあったのではなく、過去には豊かな生態系を持つ陸地だったことを示す動かぬ証拠となりました。

なぜジーランディアは海に沈んだのか?

大陸であったはずのジーランディアは、なぜ海の底に沈んでしまったのでしょうか。

最も有力な説は、その地殻の薄さにあります。通常、大陸の地殻は厚さ30〜45kmほどですが、ジーランディアは約20kmしかありません。約8500万年前に超大陸ゴンドワナから分離する過程で地殻が引き伸ばされ、薄くなったと考えられています。この薄い地殻はプレート運動の力に耐えきれず、徐々に沈んでいったのです。いつ、どのように沈んだかについては、今も研究が続いています。

このような地殻の変動は、決して他人事ではありません。私たちが住む日本列島も、複数のプレートがぶつかり合う場所で、地殻の隆起や沈降を繰り返して形成されてきました。ジーランディアの壮大な物語は、日本の国土もまた、地球のダイナミックな活動の中で生まれ、常に変化し続けていることを教えてくれます。

ジーランディアが私たちに語りかけること

「大陸は7つ」という常識が覆されたことは、単に知識が一つ増えた以上の意味を持ちます。それは、私たちが知っている世界はまだほんの一部に過ぎない、という事実を教えてくれるからです。

ジーランディアの探求はまだ始まったばかりです。これまでの調査では恐竜時代の化石も発見されており、今後の探査によって、さらに多くの未知の古代生態系が解明されるかもしれません。科学の進歩は、深海や宇宙といったフロンティアで、次々と地図の「空白」を埋めてくれます。

この物語は、地球が常に変動し続ける「生きている惑星」であることを改めて感じさせてくれます。私たちが立つこの大地も、何億年という時間軸の中では決して不変のものではありません。この壮大なスケールの話は、日々の生活から少し視点を上げ、地球という星への好奇心を育むきっかけとなるでしょう。次に地図を開くとき、その青い海の向こう、遥か海底に広がる未知の大陸に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。